ひこぼしの米国株投資〜オニール、ミネルヴィニ派〜

てきとー投資からの脱却 ~オニールとミネルヴィニの狭間で~

「稲妻が輝く瞬間」に居合わせなければならない…のか?

投資家は、「稲妻が輝く瞬間」に居合わせなければならない

「敗者のゲーム」の有名な一節です。

敗者のゲーム〈原著第6版〉

この一節は1980~2008年の間のS&P 500の年収益率が11.1%に対してベストの上昇日10日を逃すだけで年収益率が8.6%に低下することなどに由来します。

今回はこの現象について検証します。

検証条件

年数はPCのスペックの関係で10年に減らしています。
1年間の営業日数は東京条件取引所のおおよその営業日数の245日を採用しています。
検証データは楽をするために正規分布の乱数から作成しています。
年平均の正規分布の平均は上記のS&P 500の年収益率に近づけるために0.1にしています。0.11にすべきでしたがご愛嬌。
年平均の正規分布標準偏差は適当です。グラフが株価のようになる程度の数値にしました。

前提条件

株価は正規分布に従うことを前提に話を進めます。
実際の株価は正規分布より暴騰、暴落の回数が多いとどこかで見た気がしますが大変なので正規分布に従うこととします。

検証情報

これから示す検証結果は複数回の平均ではなく、1回の検証結果です。

数回検証して傾向は変わらないことを確認しています。

示す検証結果は検証データ(基準)の年収益率が「敗者のゲーム」のS&P 500に近い際の結果です。

検証結果

年収益率は以下になりました。

  • 基準: 11.0%
  • ベスト10日を逃した場合: 8.5%

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偶然ですが「敗者のゲーム」とほぼ同じ結果になりました。

たしかにベストの上昇日10日を逃すとパフォーマンスは無視出来ないほど低下します。

ではベストの上昇日10日に加え、ワースト下落日10日を逃した際のパフォーマンスはどうなるでしょうか?

結果は以下のように基準のバイ&ホールド時のパフォーマンスを若干上回ります。

  • 基準: 11.0%
  • ベスト10日を逃した場合: 8.5%
  • ベストとワースト10日を逃した場合: 11.6%

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実際の株価は暴騰より暴落の値幅のほうが大きい傾向にあるためパフォーマンスはもっと向上するはずです。

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考察

「敗者のゲーム」では

タイミングに賭ける取引がうまくいかないことは、過去に何度も立証されてきた。

とも書かれています。

敗者のゲーム〈原著第6版〉

敗者のゲーム〈原著第6版〉

それは間違いだ、市場の動向によりCPを調整するのが正しいんだ!!

とは簡単には言えません。

なぜならワースト10日だけ逃がれることができないからです。

暴落に備えてCPを高くしたものの株価は上昇を続けるなんてことは日常茶飯事ではないでしょうか。

運用の歴史を見ると、市場が大底から回復する最初の一週間に、株式リターンのかなりの部分が獲得できることは明らかである。

この一文が追い打ちをかけます。

仮にタイミングを計ってワースト10日を逃れることができても、ベスト10日も逃す可能性が高いのです。

今回の検証結果は奇跡的にワースト10日とベスト10日を逃れてもバイ&ホールド時より劇的なパフォーマンスを得ることはできないことを示しています。

ワースト10日とベスト10日を逃れる神業をやってのけるより、バイ&ホールドするほうが現実的です。

結論

投資家は、「稲妻が輝く瞬間」に居合わせたほうが賢明である

注意

今回の検証結果は計算ミスや乱数の傾向などによる可能性があります。 検証データが正規分布だから当たり前のような気もします。 検証結果が正しいことを保証するものではありません。


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※ 投資判断は自己責任でお願いします。